エッセンシャル思考|要約と感想と書評|本当に成果は上がるの?

エッセンシャル思考

グレッグ・マキューンの「エッセンシャル思考」を読んだので、要約と感想と書評を書いてみました。簡単に言えば、やるべきこと、やりたいことを具体的に決めそれ以外は切り捨てることで、成果が最大になるということを言っている本です。

要約

個人的に気に入ったフレーズを中心に内容をご紹介します。

選ぶ力をとりもどす

自分は何をしたいのかを、たっぷりと時間をかけて選ぶことが大切です。

  • 多くをやらなくて済むように多くを吟味する
  • 自由意志の最初の一歩は自由意志を信じること
  • トレードオフから逃げることはできない
  • 立ち止まる時間こそが生産性を高める特効薬
  • 立ち止まるのはムダではなく前に進むための最短コース
  • なるべく時間をかけて調査検討する
  • 集中せざるを得ない状況に自分を置く

考える時間とスペースを確保するため、LinkedInのCEOのジェフ・ワイナーは毎日2時間の空白の時間をとる。その時間に3〜5年後の会社の姿や根本的な改善策について考ます。このおかげで確実に成果が上がり、人生の主導権を取り戻せました。

そして、選んだら最終形を明確にします。やろうとしている意図にそぐわないことを切り捨てるためです。

それを本質目標と呼び、具体的かつ刺激的なものである必要があります。

  一般的 具体的
刺激的 ヴィジョン
ミッション
本質目標
平凡 価値観 四半期目標

例えば、

2012年までにイギリスのあらゆる人がインターネットを使えるようにする

や、ブラッドピットが掲げた、

ニューオリンズの下9地区に住む世帯のために低価格で環境に優しく災害に強い家を50戸建設する

などです。

具体的でリアルだからこそ心を動かします。

捨てる

選んだもの以外は徹底的に捨てます。

大切なことを知っていれば、断ることができます。頼まれて不本意なイエスを言わないようにします。そのようなイエスは、よく見られたいという一瞬の満足を得ますが、後で深い後悔になります。

短期的な好印象より、プロフェッショナルとしての長期的な敬意を得る方が大事です。ノーを言うことは優秀な人のスキルです。

自分という資産を守ることが大事です。睡眠時間を維持することは、優先順位付けの能力をキープするためです

何かやりたくなったら、「これをやったら他の何よりも重要な成果が得られるだろうか?」と自分に問う。捨てるのを迷うものがあれば、「もし今持っていなかったら、今から買うか?」と問う。

サンクコストを捨てる

時間、労力、お金を投入したものはなかなか捨てられない。だが、失敗を認めることも大事です。失敗を認められるのは賢くなった証拠です。

良くすることは何かを削ること

小さな編集を繰り返し、大好きな物を殺すことで良くなっていきます。何かを無くすのが怖いとき、逆プロトタイプという考え方が有効です。試しに少しやめてみて、問題が起きないか確認します。

非エッセンシャル思考 エッセンシャル思考
良くすることは、何かを付け加えること 良くすることは、何かを削ること
あらゆる細部に愛着がありすぎる 不要な細部は冷静に切り捨てる

柵を立てると自由になれる

他人と一線を引き自分の時間を守ります。境界線を上手に利用するのは最初は難しいですが、練習すればできるようになります。まずは「侵害された出来事」をリストアップしていきます。何を持って侵害されたとするかというと、「イラっとした」出来事で良いです。

成果を生まない努力をやめる

アリストテレスは、仕事を

  • テオリア(理論)
  • プラクシス(実践)
  • ポイエーシス(制作)

ハイデガーはポイエーシスを仕事のやり方自体を指し、蛹が蝶になることに例えていて、今ある形を捨て新たな形を生成することとしています。これこそが、エッセンシャル思考のやり方です。

非エッセンシャル思考 エッセンシャル思考
応急処置を積み重ねる 本当の障害を取り除く
仕事が増える 成果が増える

遊ぶ

遊びは本質を探求するのに役立つだけでなく、それ自体がどこまでも本質的です。仕事や生活に遊びを取り入れるには、自分が楽しく遊んだ体験を思い返してみるといいです。どんな遊びにワクワクしたか、などです。

「早く小さく」始める

できるだけ早い時期に着手し、軽い負担で終わらせることが大切です。半年後のプレゼンの予定があっても、今すぐにでも4分でいいので資料に思いついたことを書いておくだけで、随分と負担が軽くなります。長くやればいいというものではなく、始めることが大事。

ミーティングの予定が入ったら、15秒だけ時間をとって、その目的をメモしておく。それだけで、当日の計画を作る作業がスムーズに進みます。

過去や未来にとらわれない

古代ギリシアで時間を表す言葉に、クロノスカイロスがある。クロノスは量の問題でカイロスは質の問題。カイロスを感じることができるのは、今この瞬間を生きている時だけです。

エッセンシャル思考のひとはカイロスを生きる。今やらなければならないのは、「今何が重要か」を決めること。

そして大事なのは、未来を頭の中に抱えない、ということです。そのために、頭にあることを紙に吐きだします。これにより、アイディアを忘れないし、すぐに何かしなくては、という漠然とした焦りを感じなくて済みます。

カイロスを生きるには「マインドフルネス」を身につけることが大事です。そして、自分の日々を振り返り、カイロス的な時間を見につけましょう。それを日記につけて分析し、どんな時に「今ここ」を感じられるかわかったら、それを再現できるように練習しましょう。

非エッセンシャル思考 エッセンシャル思考
過去と未来に引き裂かれている 現在に集中している
昨日や明日の問題について考える 目の前の問題を考える
未来や不安や過去の失敗を思い悩む 今を楽しむ

感想と書評

正直、いつも考えすぎてしまい、実行に移せない人は読んではいけない本だと思いました。というのは、エッセンシャル思考は、やることをできる限り絞り込むために、事前にじっくり考えようという物だからです。なので、そういう人は余計に考え込んでしまうのではないでしょうか。やることを絞り込むというのはもちろん大事だと思いますが、それを考えるための材料(データ)を収集するにはやはり実行の量がある程度必要だと思います。

逆に、とにかく忙しく作業をこなしてはいるんだけど、なかなか成果が出てこない、という方にはぴったりな本だと思います。この本の考え方に基づいて、必要なことのみにフォーカスできれば、必ず今よりは成果も上がってくるはずです。

考えることと、手を動かすことの両方が大切だと思いますが、この本を読んで、両方を分けて行うことが最も大事だということに気づきました。

一つ疑問を持ったのは、多くの成功哲学の本には、「人に与える」ことが大切、と教えるものが多いです。例えば、下の記事で書評したものなどです。

これらの本では、「成功したければまず自分から人に与えていく」「目の前の人を一生懸命幸せにする」などが大切と言っています。

ですが、エッセンシャル思考では、自分の本質的な目標にそぐわないことであれば、周囲からの依頼は勇気を持って断ることが大切としています。

このあたりはなかなか難しいですよね。自分から見れば目標には何ら関係ないけど、手伝ってあげればその人にはすごく役に立つことは多いと思います。

とはいえ、自分には参考にすべき点が多い本でした。一辺倒に作業をしがちで、冷静に振り返るという時間をおろそかにしがちだからです。なので、次のことはすぐにでも実践していこうと思います。

  • 1日1時間、仕事の前に考える時間を作る
  • カイロス的な時間を見つけるために毎日日記を残す
羊毛や小麦