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マリリーG.アダムス「質問思考の技術」を読みました

マリリーG.アダムスの「質問思考の技術」を読みました。ルレアのGM今村さんがお勧めしていたからです。

マリリーG.アダムス ディスカヴァー・トゥエンティワン 2005/5/16

質問思考とは?

質問思考(Question thinking)(以下QT)をすごく簡単に説明します。

人間の行動の結果は心に浮かぶ自分への質問や、他の人との会話に出てくる質問によって決められています。意見ではなく質問を多くすることが大事です。(8割以上)そして、質問には大きく分けて2種類あります。

学習者の質問」と「批判者の質問」です。前者を多くすることが必要です。いくつか例をあげます。

批判者の質問 学習者の質問
  • なにが悪いのだろう?
  • だれのせいだろう?
  • どうすれば自分が正しいと証明できるだろう?
  • どうすれば自分の縄張りを守れるだろう?
  • どうすれば主導権を握れるだろう?
  • どうして負けてしまうのだろう?
  • どうして私が痛い目に遭うのだろうか?
  • どうしてあの人は無知で人をいらいらさせるのだろう?
  • どうしてくよくよするのだろう?
  • なにが機能するだろう?
  • 私はなにに責任を持つべきだろう?
  • 事実はどういうことだろう?
  • 全体の見通しはどうだろう?
  • どんな選択ができるだろう?
  • この件でなにが役立つだろう?
  • 私は何を学べるだろう?
  • 相手は何を考え、何を感じ何を必要とし、何を望んでいるのだろう?
  • 何が可能だろう?

といったようなものです。

人は普通にしていると批判者になって批判者の質問をしてしまいがちです。そこで、常に「選択の地図」と呼ばれている地図を頭の中に入れておくことが大事です。

選択の地図とは、道が二又に分かれていて、一方が「批判者の道」、もう一方が「学習者の道」になっています。

批判者の道に入ってしまった場合、学習者の質問をして学習者の道に乗ることが大事です。そのような質問をスイッチングクエッションと呼びます。

スイッチングレーンを通って学習者の道に入ることができます。

どのように批判者の道から抜け出すのか

体が教えてくれる

自分が批判者になっていることは、自分の体が教えてくれます。
どこか気持ちの悪いような、ムズムズした感じがあります。

学習者と批判者の対比表

また、学習者と批判者の特徴を知っておくことが、批判者になってしまったことに気づくのに役立ちます。下はそれぞれの特徴をまとめた対比表です。

批判者 学習者
心の状態
  • 批判する[自分自身を・他人を]
  • 反射的・機械的
  • 知ったかぶり
  • 柔軟性がない
  • AかBのどちらか
  • 独善的
  • 違いを怖れる
  • 自分の考え方に固執
  • 思い込みを守る
  • 可能性には限界があると考える
  • 普段の気分:防御的
  • 受け入れる[自分自身を・他人を]
  • 反応する・思慮深い
  • 知らないということを尊重する
  • 柔軟・適応性がある
  • AもBもどちらも
  • 探究的
  • 違いを重視する
  • 他人の考え方を考慮
  • 思い込みに疑問をもつ
  • 可能性に限界はないと考える
  • 普段の気分:好奇心
人間関係
  • Win-Loseの関係
  • 人との距離を感じる
  • 違いを怖れる
  • 議論する
  • 非難する
  • 人の話を聞くときは
    良い悪いに注目
    賛成反対を考える
    違いを見つける
  • フィードバックを否定と捉える
  • 攻撃、もしくは防御する
  • Win-Winの関係
  • 人とのつながりを感じる
  • 違いを重視する
  • 対話する
  • 論評する
  • 人の話を聞くときは
    事実に注目
    理解する
    共通点を見つける
  • フィードバックは価値あるものと捉える
  • 解決、および創造する

そして、皮肉なことに自分のなかの「批判者」を受け入れたとき、「批判者」から抜け出せる。

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ABCCの選択プロセス

困難にぶつかった時、次のようなプロセスをとる。

Aware

私は批判者だろうか?

Breathe

一歩下がって立ち止まり、状況をもっと客観的に見る必要がないだろうか?

Curiosity

私は事実を知っているだろうか?ここでなにが起きているのだろうか?

Choose

私はなにを選択すべきだろう?

思い込み撲滅の質問

  • 私は自分自身の能力や物事への関わり方について、どんな思い込みをしているのだろうか?
  • 私は周りの人たちの能力や物事への関わり方についてどんな思い込みをしているのだろうか?
  • 私は過去の経験に基づいて、どんな思い込みをしているのだろうか?
  • 私は利用可能な手段について、どんな思い込みをしているのだろうか?
  • 私はどんな限界があると思い込んでいるのだろうか?
  • 予期していないどんなことが私を待ち受けているのだろうか?
  • 私は外的環境や現実についてどんな思いこみをしているのだろうか?
  • 私はどんなことが不可能だと思い込んでいるのだろうか?あるいはどんなことが可能だと思い込んでいるのだろうか?

変化のための十二の重要な質問

  • 私はなにを望んでいるのだろう?
  • 私はどんな選択ができるのだろう?
  • 私はどんな思いこみをしているのだろう?
  • 私はなにに責任を持つべきだろう?
  • 他にどんな考え方が出来るだろう?
  • 相手はなにを考え、なにを感じ、何を必要とし、何を望んでいるのだろう?
  • 私は何を見落としているのか、あるいは避けているのだろう?
  • 私はこの人(状況、失敗、成功)から何を学べるだろう?
  • (私自身に・相手に)どんな質問をするべきだろうか?
  • どんな行動をとることが最も論理的だろうか?
  • これをどうすればWin-Winに変えられるだろうか?
  • なにが可能だろうか?

そして、人に最後に残された自由は、自分の態度です。
これは、V・E・フランクルの「夜と霧」に書いてあります。

QTツール(実践方法)

  • ちょっとしたことでも行動のきっかけとなっている自分への質問を丸一日メモしてみる。
  • 1日の様々な状況に対して自分の反応を調べる。質問か意見か。
  • 人に対して口にする言葉は、意見か質問か割合を調べて見る。
  • 過去の失敗した出来事で、批判者になっていたのか確かめる。どのような質問をすればよかったのか。
  • 過去の満足いった結果になった時どんな質問をしていたか思い出す。
  • 質問リストを繰り返し読み上げ、自分の反応の違いを確認する。
  • 批判者になってしまったら行動せずに、静かなところで一人で座り、心と体を見つめてみる。

さいごに

何か問題が起きた時、つい誰の責任かを突き止めたくなります。ですが、QTでは誰かの責任かはどうかは別にどうても良く、どうすれば前に進めるか、を考えます。

誰かの責任かは問わないということは、みんなでみんなの責任を取る、ということだと思いました。

ただちょっと疑問だったのは、組織の人事評価制度との整合性です。責任を明確にしようとする人事制度によっては難しいのではと感じてしまいました。

また学習者になるには、「与える」メンタリティが大事だと思いました。質問をしたくないのは、質問することによって「奪われる」感覚があるからだと思います。

そんなにケチケチしないで、どんどん「与えていく」ことができれば、自然と質問が多くなるのではないかと思います。

マリリーG.アダムス ディスカヴァー・トゥエンティワン 2005/5/16