2月中頃からTwitterの横浜音楽界隈の人たちが賑わしている議論がある。知っている人は知っている数々の実験的な音楽のイベントを行ってきた黄金町の喫茶&レコード酒場「試聴室その2」が閉店することになる、というお知らせツイートが発端だった。
アートと地域活性というものを考えさせられる議論が起きている。
発端のツイート
【試聴室からのお知らせです】突然ですが、黄金町・試聴室その2は遅くとも来年(2017年)3月までに現在の場所での営業を終了せざるえないこととなりました。これまでご出演頂いた方々やご来場いただいたお客様に唐突にお知らせすることになり心苦しく思っておりますが、お許しください。(続く)
— 試聴室 (黄金町&神保町) (@Shichoshitsu2) 2016年2月8日
閉店の原因は、大家であるところのNPOから長いこと借りているので来年3月をもって卒業(ってアイドルグループみたいですが)して欲しい=来年4月からの契約はしないと言われたためです。家賃が安いのは税金を得て補助しているので公平性を保つため長期利用者に通告しているとのこと(続く)
— 試聴室 (黄金町&神保町) (@Shichoshitsu2) 2016年2月8日
その他、NPOからは黄金町での活動に貢献していないとか、店が雑多としてきたないとか、いろいろ指摘されました。店を始める時に「この建物は市が10年借り上げているからそれまでは大丈夫」と言われていたので、10年をメドに考えてきましたが、このようなことになり、非常に残念です。(続く)
— 試聴室 (黄金町&神保町) (@Shichoshitsu2) 2016年2月8日
今後のことについては、まだ全くの白紙状態です。店長三沢と相談しながら決めていきますが、同じような形態でやっていくことは難しいのではないかと考えています。来年の3月までこれまで以上におもしろくて居心地の良い空間が維持できるよう努めますので、それまでよろしくお願いします!(根津)
— 試聴室 (黄金町&神保町) (@Shichoshitsu2) 2016年2月8日
突然のお知らせにもかかわらず、沢山のツイートやリツイート、ありがとうございます。直接お答えできず恐縮ですが、皆さまに心から感謝しております。店長三沢もツイートしていましたが、何らかの形で試聴室その2を横浜で継続できる道を探っていければと考えています。よろしくお願いします(根津)
— 試聴室 (黄金町&神保町) (@Shichoshitsu2) 2016年2月9日
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驚きと悲しみあらわにする関係者の方々
黄金町試聴室からは、今まで以上にまだまだ面白い音楽が出てくる雰囲気がたくさんあった。ちょっと怖いくらいに。なので今後どうなるのかとても楽しみだった。あと5年だけでも続けてくれたらと思うんですが、根津さんダメですかね?
— 大島輝之 (@oooooshima) 2016年2月8日
アートなんかよりずっと重要だよ。試聴室は。
— 小山和朗 (@coyote_car) 2016年2月8日
試聴室が黄金町の活動に貢献してないってどういうことだ。あれだけ色んなイベントをやってけっこうな延べ人数を黄金町に呼んでいるというのに。NPOや行政はそんなことには全く興味もないし応援もしないのだ。
— arukokoasim (@arukokoasim) 2016年2月8日
音楽も美術も何もわかってない前市長中田のような奴が、みなとみらいを作りクリーンでおしゃれ観光地・横浜のイメージと違う野毛~黄金町界隈を何とかしないとと思い、ちょんの間を潰して自称「アート」を作り上げていくんだけど、ほんとカス。実は試聴室が出来た頃は同じ穴のムジナだと思ってた。
— 大島輝之 (@oooooshima) 2016年2月18日
試聴室の件、署名もしましたし、あの場所の雰囲気が大好きです。が、やはりNPOやらのムカつく奴らが大嫌いでもあって、少し複雑な気分。違う場所で再出発というのも全然アリだと思うし、三沢君やあそこに集う人たちにとってどっちが最良なのかという意味では違う場所という気もします。
— 大島輝之 (@oooooshima) 2016年2月25日
ついに出演者発の署名運動が
みんなの試聴室を守ろう!黄金町エリアマネージメントセンターの試聴室その2に対する契約終了の決定に反対の署名運動を始めました。試聴室その2または神保町試聴室にて署名ができます。ご強力お願いします!
— Marcos Fernandes (@nakakuboy) 2016年2月16日
署名先はこちら↓↓
『試聴室その2』を黄金町から無くさないでください!! Change.org
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早くも考察ブログ記事が
このブログにはこうある。
穿った見方だが、地域の外からたくさんの人を呼んでいて目障り、あいつら地域の活動だってロクに参加しないのに・・・地域社会側はこんな風に思っているのかもしれない。
実際、前年までNPOが発行する冊子に載っていたにも関わらず2011年に突然紹介ページに載らなかったという不穏な事件が起きている。
揺り戻すかのように冷静な指摘も
試聴室のこと、みんな本当はどう思ってるんだろう?検索しても「閉店反対」のツイートばかりだけど、本当にそうなんだろうか?たとえば僕は「閉店しかたない」と思っているんだけど、試聴室に出演したこともあるし、試聴室に馴染みの人たちとのつきあいもあるしで、今日までツイートをためらった。
— avextwin (@avextwin) 2016年2月25日
たとえば「今年はなるべくヨコハマから出たくない大谷能生が、自分の仕事を試聴室その2に持ち込んで毎週公開作業&練習&打ち合わせ&執筆&打ち上げ!」という内容のイベントを毎週やるところに税金で支援することに納得いかないことが試聴室閉店賛成の理由のひとつです。
— avextwin (@avextwin) 2016年2月25日
最近の試聴室は内輪のパーティーみたいなイベントが多すぎると思う。NPOから「黄金町での活動に貢献していない」と言われても当然だ。試聴室が貢献しているのは内輪だから。10年は大丈夫だと言われているのに話が違うと思っているんだろうけど、話が違うと思ってるのはお互い様じゃないだろうか。
— avextwin (@avextwin) 2016年2月25日
「今年はなるべくヨコハマから出たくない大谷能生が、自分の仕事を試聴室その2に持ち込んで毎週公開作業&練習&打ち合わせ&執筆&打ち上げ!」というのを毎週税金の支援でやることを私は「税金の無駄遣い」と呼ぶと思うんだけど、閉店反対に賛同し署名している人はどう思っているんだろうか。
— avextwin (@avextwin) 2016年2月25日
ライブスペースを運営するのって大変だと思うんだよね。誰も好きで出演者にノルマなんかとってないよ。それなのに税金で優遇された試聴室は、その優遇に答える活動をするんじゃなくて、私物化みたいな内輪のイベントばかりしたんだよ。それはさ、いろんな人を裏切った行為だと思う。
— avextwin (@avextwin) 2016年2月25日
試聴室の閉店が発表された時、NPOのことをひどく罵ったツイートがいくつもあったこととか、今の閉店反対署名サイトの言葉遣いとか、その態度はないんじゃないの?と思った。7年間くらい、税金で支援してもらったんだから、支援が終わった途端に敵意むきだしって人間関係としてどうなんだろう?
— avextwin (@avextwin) 2016年2月25日
@nurarinop 残してほしいけど、試聴室2はもっとホームページでわかりやすくイベントの説明するなどもっと工夫してほしい。なんか閉じてるんですよね。署名するなら、こんな改善をします!ってのとセットだと思うんですよね。一応税金入ってると思うんで。
— あらき (@taiaraky) 2016年2月25日
@arukokoasim そうですよね。署名で残っては欲しいけど、何も変わらないで残るのもなんか変な気がします。NPOが関わってるってことは、税金が多少は入ってることになるので。なので、一つ二つは反省点も見つけて欲しいです。偉そうに失礼しました。
— あらき (@taiaraky) 2016年2月23日
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わたしの意見
横浜市民でもあるし時々試聴室その2に行っていた人間としては、閉店したら横浜で唯一実験的なことをしている場所がなくなってしまう、という気持ちはある。
だが、店側にも反省すべき点はなかったのか、という気もする。特に情報発信についてだ。
自分は横浜市民といっても、黄金町には住んでいないので、試聴室2に行く場合は、ホームページでどんなイベントをやっているか事前に確認をする。しかし、そのホームページのイベントページは、イベント名と出演者名しか書いていないのだ。
これでどんなイベントか理解できるのは出演者の友達くらいだろう。
音楽好きなのでほんとは頻繁に出入りしたいと思っているが、自分の好みでないイベントにあたるのが怖くて自分でも知っている比較的有名な人が出ているときにしか行っていない。(たまには知らない人ばかりでも行くが)
なぜ、ホームページに詳しく書かないのだろう、と前々から疑問に思っていた。
出演者はこういう人で、こんな感じの音楽をやっています、みたいなことを書いているだけでだいぶ違うと思う。YouTubeなどに音源あげてある人はそこで聴けるようにしちゃえばさらにわかりやすい。
おそらくさきほどの考察ブログで言及されていた、
地域の外からたくさんの人を呼んでいて目障り
という理由でNPOに閉店を迫られているではないと思う。本当の理由は言及されてないので推測にすぎないが、逆にお客さんが少なかったからじゃないか。
わたしが足を運んだら、もうイベントが始まっている時間なのに、誰も客がいない、ということも何度かあった。
ただ、発端のツイートにあるようにNPO側が10年を約束していたというのが事実であれば、関係者サイドが署名運動を起こしたくなる気持ちもわかる。それが本当ならNPOも無理やりな対応だ。
だが、署名運動を起こす前に、「どうすれば継続させてもらえますか?」という前向きな交渉はできなかったのだろうか。NPO側も「もっとこうしていきましょうよ」と持ちかけることはできなかったのか。
一連のツイートを見ていても、店側とNPOの関係がよくないのは見て取れる。
そして、そこにはわたしのようなほんとは行きたい音楽好きの市民のことが考えられているようには思えない。
『試聴室その2』を黄金町から無くさないでください!! Change.org