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デザイン思考が世界を変える|要約|イノベーションを導く考え方とは!?

ティム・ブラウンの「デザイン思考が世界を変えるーイノベーションを導く新しい考え方」を読んだので、まとめてみました。黄色いボックスは私のコメントです。

デザイン思考とは

デザイナーのように思考すること。人間中心、直感で判断する、パターンを見分ける、機能性だけでなく感情的な価値を持つアイディアを生む、能力を大事にするのがデザイン思考。

デザインには制約が必要

  • 技術的実現性
  • 経済的実現性
  • 有用性

デザイン思考家はこの三つのバランスをとる。例えばWiiフィットはすごいテクノロジーを使っているわけではないが、この三つの絶妙のバランスをとっている。

MBAとデザイン思考の組み合わせが有効なのは、この制約を検討するのに役立つからだ。イノベーションマトリクスを利用して評価するのは有効。またイノベーションはポートフォリオとしてとらえ、「数を打てばあたる」と考える。

イノベーションの3つの空間

  • 着想
  • 発案
  • 実現

の3つの空間を行き来する。個人的にはこれは開発手法でいうアジャイルでサイクルを細かく回すのに似ていると感じた。

発散的思考と収束的思考

発散的思考と収束的思考をリズミカルに繰り返す。分析と綜合を行う。綜合はストーリーを作るというクリエイティブな営み。

分析と綜合は、発散的思考や収束的思考とどう関わるのかがわからなかったが、推測だと分析、綜合は収束的思考のなかで使われるのでは、と思った。

ブレインストーミングは発散的思考で使用し、他者のアイディアをもとに考えることが大事。いかなる個人よりも全員のほうが賢い。

ポストイットは収束的思考で使える。グループの直感を引き出し、コンセンサスを作るのに便利。デッドラインに向けて、選択肢から決断を行う。バタフライテストとよばれる投票する方法が使える。

「AかBかではなく、AもBも」。複雑さを愛することが大事。複雑さは創造性の源泉。

たい
たい

このあたり、稲盛和夫「生き方」に出てくる「楽観論」と「悲観論」に近いと感じた。「『楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する』ことが物事を成就させる」と言っている。

要約は次の記事に書きました。

稲盛和夫「生き方」要約感想!仕事にも徳が必要だった?稲盛和夫さんの「生き方」を読んだので、学んだことを中心に要約し、感想をお伝えします。黄色のボックスは私の個人的な感想です。 人生の目的...

人間中心

人々が自分でさえ気づかない内なるニーズを明らかにする。人間は不便な状況に適応するのに長けているので、フォーカスグループやアンケートは役に立たない。なので、

  • 洞察
  • 観察
  • 共感

というプロセスをとり、ニーズを需要に変える。洞察と観察では、民族誌学者のように行う。定量データとは違い、どこにでも転がっていて無料。エクストリームユーザーに注目することで発見がある。

観察では「普通」を観察するのが大事。あたりまえなことに疑問をもって観察をする。そしてそれを視覚的に記録する。ウィトゲンシュタインは「考えるな。見ろ。」と主張。これをビジュアルシンキングという。

共感では「他人の担架に横たわる」つもりで行う。この共感こそが、学問的思考とデザイン思考の違い。

ますます経済は経験経済になっている。私たちがデザインするのは名詞ではなく動詞。

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プロトタイプ

プロトタイプを作るのが大事。カスタマージャーニーといったシナリオを作ることは、人々のアイディアが中心になるので有効。タッチポイントを検証することができる。また、アイディアを気軽に演じられるように練習しておく。「知識と行動のギャップを埋める」ことが大事。

テクノロジーへの依存は危険

アートとエンジニアリングに同等の重きを置く。ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」を参照のこと。

T型人間が必要

一つの領域に特化したようなI型人間をたくさんそろえるより、MBAを持つアーティスト、マーケティング経験を持つエンジニアなどのいくつかの分野を跨ぐT型人間のほうが必要。

multidisciplinaryよりもinterdisciplinary(異分野連携)が大事。

社会問題とデザイン思考

社会問題は全て人間中心。なので、どんなビジネスも社会問題に取り組んだら面白いのでは、と思った。ヴィクター・パパネクの「生きのびるためのデザイン」参照。社会起業は博愛、慈善、自己犠牲ではなく真の利益交換

「何を」ではなく「なぜ」を問う。解決するに値する問題なのか。

感想

今の自分に参考になったのは、発散的思考と収束的思考をリズミカルに繰り返す、という部分。自分はある時期、発散的思考になればずっと発散的思考。逆に、収束的思考になればずっと収束的思考というふうに偏ってしまう傾向がありました。これを適宜切り替えていくことが大事で訓練しなければならない、と感じました。

ただ、この本はロジカルに解説している本ではないので、わかりにくいです。何度か読むとわかってきます。

ちなみに、最近下の文庫版が出ました。カバーもおしゃれですね。

ティム・ブラウン (著), Tim Brown (著), 千葉 敏生 (翻訳) 早川書房 (2014/5/10)