佐藤義典さんの「実践顧客倍増マーケティング戦略」を読みましたので、勉強になった点を中心に要約し、感想をお伝えします。
要約
マインドフローとは
顧客がファンになるまでの7つの関門を表しています。
- 認知
- 興味
- 行動
- 比較
- 購買
- 利用
- 愛情
これは、とある学者が提唱しているAISCEAS(アイセス)に近いと思いました。
- Attention
- Interest
- Search
- Comparison
- Examination
- Action
- Share
ただ、マインドフローでいう「購買」がExaminationとActionに分かれています。また、「利用」と「愛情」が、Shareだけになっています。
とはいえ、だいたい同じだなと思いました。
戦略BASiCSとは
- Battle Field(戦場・競合)
- Asset(独自資源)
- Strength(強み)
- Customer(顧客)
- Selling Message(メッセージ)
の頭文字をとっだものです。iがないのですが、語呂を合わせるためにiを入れているそうです。
これは一般的なマーケティング理論でいう、3C分析とSWOT分析を合わせたものに近いかなと思いました。
マインドフローとBASiCSのマトリクスを作って戦略を立てます。
戦略BASiCS | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
B: 戦場・競合 |
A: 独自資源 |
S: 強み |
C: 顧客 |
Sm: メッセージ |
||
マインドフロー | 認知 | |||||
興味 | ||||||
行動 | ||||||
比較 | ||||||
購買 | ||||||
利用 | ||||||
愛情 |
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マインドフロー × 4P
BASiCSを使って検討した内容を数値化しやすく、実行しやすいようにマインドフローと4Pのマトリクスを作ります。これは増客設計図といいます。
4P | |||||
---|---|---|---|---|---|
Product 売り物 |
Promotion 売り方 |
Place 売り場 |
Price 価格 |
||
マインドフロー | 認知 | ||||
興味 | |||||
行動 | |||||
比較 | |||||
購買 | |||||
利用 | |||||
愛情 |
これをもとに打ち手を考えて実行していく、というのが本書の趣旨です。
ここで出した打ち手が、一般的なマーケティング理論でいうKFS(Key Factor For Success)なのかなと思いました。
参考になった点
1人の顧客の物語を具体化する
BASiCSを検討する段階で、まず顧客の物語を具体化しますが、ここで「20代男性」などの「層」にしないで、一人の顧客に限定します。
例えば、「29歳の大阪市に済む男性」くらいピンポイントの一人に具体化して物語を考えます。こうすれば、実はその周辺の人も、巻き込んでいくことができます。30歳や32歳の人も巻き込んでいくことができます。
もし、具体化しすぎると市場規模が小さくなるのでは?と心配になる場合は、そのような顧客の物語を複数作り、それぞれに戦略をたてることで対応します。
強みと独自資源は違う
強みは顧客から見た魅力のこと。安い、便利などがこれ。
独自資源は、強みを発揮するために持っているもの。例えば、特許技術やスキルのある従業員など。
打ち手のムダをなくす
マインドフローにそって考えると、ムダな打ち手を打つことを防げます。
例えば、すでに興味を持って、ライバル商品と価格を比較しているのに、興味をもたせるようなメッセージを送らなくて良いのです。
助成想起と純粋想起
数値化する段階で、アンケートなどを活用しますが、認知度を調べるには二つの方法があります。
「三ツ矢サイダーという商品を知っていますか?」
「炭酸飲料と聞いて思い浮かぶ製品をあげてください。」
この二つは共に三ツ矢サイダーの認知度を計るための質問ですが、全く違う結果になるでしょう。
前者は助成想起といい、後者は純粋想起といいます。このようなことをわけて考える必要があります。
感想
3C分析、SWOT分析、KFSなどの一般的なマーケティング用語を使わずに、独自の言葉を使って構築された理論だと感じました。ただ、言っていることは同じで、著者の視点から語られたものだと思います。
同じものを別角度から眺めることで、マーケティングへの理解が深まりました。