自分を見つめて、自分を知るのが大事だと言われます。就職、転職活動では「自己分析」と言われ、当然のように行うのですが、それ以降はなかなかそういうことをする人も少ないのではないでしょうか。ビジネス、就活、人間関係、全てを劇的に改善する自分の見つめ方をご説明します。
もくじ
なぜ自分を知ることが重要か
よく引用される、
彼を知り、己を知れば、百戦して殆(あやう)からず
という名言があります。
これは中国の昔の戦略家、孫子が残した言葉です。
「彼」というのは敵のこと、「己」というのは自分のこと。
敵を知り、自分も知れば、絶対に負けない、という意味です。
「敵」というのは、現代では「新しく始めること」や「状況」とも言い換えることもできます。
なので、新たに始めるビジネス、就職活動、今の困難な状況とも言えます。
なので、これから始めることをよく知り、自分のこともよく知れば、それをうまくやることができる、ということです。
自分にはどのような武器があり、どんな強みや弱みがあるかわからないと、どのような戦略で戦えばいいか考えることもできません。
逆に、敵と自分のことがよくわかっていれば、どのように戦うか、ということを考えやすくなります。もし全く勝ち目がないことがわかれば、今は戦わずに力を蓄えたり、仲間になる、といった選択ができるようになります。
つまり、これから立ち向かう敵や状況に対峙するために、自分を知ることがとても重要ということです。
ちなみに、孫子の本を下の記事で要約しました。
なぜ自分を知ることは難しいのか
他人のことはよくわかるのに、自分のことはよくわからない、そんな方は意外と多いのではないでしょうか。
他人の悪いところ、ってよく目につきますよね。
「あの人はケチだよなー。」
「あの子は向上心が全然無いんだよなー。」
「なんであいつは自分の意見が無いんだろう。」
みたいなこと、思ったりしません?
他人の良い部分も、見えやすいです。
「あの人会話が上手だよなー。」
「あいつメンタル強っ!」
「彼はいつも真面目に仕事してるなー。」
だったり。
でも、自分はどんな人?って聞かれてもよくわからないですよね。
なぜでしょうか?
私が思うに、それは、
自分は視覚的に見えないから
というのが非常に大きいと思います。当たり前ですが。
人間って目に見えないものは、あまり考えないんですよね。
目に映る他人のことはどんな人かわかるのに、目に見えない自分のことはあまりよくわからない。
そういうことだと思います。
仮に、自分についてくるドローンで自分を24時間、1週間位撮影し、その後1週間かけてその映像を通して自分を見たとしたら、自分のことがとてもよくわかると思います。
でも、多くの人にはそんな時間の無駄なことできないですよね。
では、どうすればいいのでしょうか。
自分を見つめ、知る方法
自分を情報にする
自分が視覚的に見えないから自分がわからない、と言いましたが、鏡で自分を見つめても自分のことは良くわからないでしょう。
わかるのは自分のニキビの位置や肌荒れのことくらいです。
自分を知るには、ちょっと離れた視点から、ある程度の期間の中での自分を見つめる必要があります。
自分というのは、「生まれてからこれまでの自分」「高校時代の自分」「社会人になってから今までの自分」のように、必ず「期間」の概念が入ります。
もちろん、他人を知る際にも期間の概念が入っているはずです。大抵は「出会ってから今までのあの人」という感じのはずです。
なので、単に鏡でその時の自分をみつめただけでは、自分のことなんてさっぱりわからないのです。
どうすれば、自分のことがみつめられるのでしょうか。
まず、一度やるべきなのは、「過去の自分を思い出す」ということがあります。
過去の嬉しかったこと、悲しかったこと、など感情が動いた出来事とその理由を思い出し、紙に全て書き出します。
紙に書くことで、自分が「見えない自分」ではなく、「見える自分」になります。
自分のことを紙に書き、情報になれば、自分のことなのにほとんど「他人事」になります。
先ほど「他人のことはよくわかる」と言いましたが、自分のことも他人とおなじようによくわかるようになります。
次に、過去の自分だけでなく、現在の自分を知る必要があります。
過去の自分も重要ですが、記憶の補正が入っている可能性があり、正確な自分を反映していない可能性があります。
正確に自分を知るためには、やはり現在のリアルタイムの自分を見つめることが大事です。
そのためには、日々の自分ことを、紙に書いて情報にしていくことが大事です。
一定期間その情報を蓄積していくと、自分のことが手にとるようにわかってきます。
「あぁ、こういうことをしている時が楽しいのかぁ。」
「こういう他人の行動に腹を立てるのね」
「こういう時は冷静に振る舞えるのね。」
みたいに、自分の傾向を客観的に見つめることができます。
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感情に注目する
さて、「過去の自分」であれ「現在の自分」であれ、記録をする際に全ての情報を記録していてはきりがありません。
考えたこと全てを紙に書き出してもかまいませんが、より効率的に自分を知りたいなら感情に注目して記録を残すべきです。
人柄はその人の感情に表れます。
他人を見てもそうですよね。表情から、
「この人こんなことで怒るんだ。」
みたいな感じです。
出来事と感情の組み合わせが、その人の人柄になります。
また、人は自分の感情を認識することができます。
小さい子供の頃は、自分がどのような感情かに気づくことは難しいと思います。
イライラしていたり、悲しかったり、嬉しかったりしても、それを引いた視点で認識できるようになるのは、ある程度大人になってからです。
大人になると、リアルタイムで自分の感情をみつめられるようになります。
「あっ、今俺ムカついてるなー。」
「うわー、すごい嬉しいなぁ。」
だったり。
リアルタイムでなくても、少し経てば、
「さっきムカついたなー。」
「なんか違和感あったなぁ。」
と振り返ることができると思います。
他人については表情から感情を読み取るのと違い、自分の場合は表情を見なくても感情をつかむことができます。
当たり前といえば当たり前ですが。
過去の自分については、記憶を頼りに自分の感情が動いた時のことを思い出して書き出していきます。
リアルタイムの現在の自分については、日々感情が動いた出来事を記録します。
日記のように1日1回書き出せばOKです。
通常の日記のようにちゃんとした文章で書く必要はありません。
箇条書きやマインドマップなどの形で書き出せばOKです。
マインドマップについては、以下で要約している書籍がおすすめです。自己分析についても触れられています。
うまくいったこと、うまくいかなかったことに注目
感情とともに注目すべきなのは、日々のうまくいったこと、うまくいかなかったことです。
これは日々の仕事や人間関係や生活を改善していくのに非常に役立ちます。
併せて、うまくいった理由、うまくいかなかった理由まで書ければなお良いです。
とはいえ、理由がすぐにわからない場合は、書かなくてもいいです。
出来事だけ記録しておけば、後で振り返った時に、理由や対策も思い浮かぶことが多いです。
感情についてもいえますが、1日に何十個も書き出す必要はないです。
それぞれ最低3個くらいでも書き出せれば十分だと思います。
時間にして、1日30分とれれば十分です。
大事なのは、毎日自分を振り返る時間を少しでもとることです。
他人を評価する基準で自分も評価してみる
うまくいかなかったことを書き出す際に、他人を評価する基準で自分も評価してみてください。
というのは、他人がとる嫌な行動を自分もしているのに気付くためです。
他人がしている嫌な行動は目につくのに、普通に自分も同じようなことをしている場合があります。
他人がとっている嫌な行動を、自分もとっていないか、という視点を持つと、より客観的に自分を見つめることができるようになります。
他人を反面教師として、自分を成長させることができます。
なので、普段他人のどのような行動が良くないと感じるかを記録しておくことも大切です。
これを行うことで、自分がどのような人を嫌だと思い、どのような人を好ましく思うかを言語化することができます。
言語化しておくことで、自分のそのような行動に気づきやすくなります。
一定期間たまったら振り返り作業をする
一定期間に溜まった情報を一度に見返すと、1日単位では見えなかったことが見えてきます。
例えば、私の場合、お酒を飲んだ日や翌日に感情がもつれてしまっていることがわかりました。
そこで、酒量を減らすことで、そのように感情が揺れることがなくなりました。
これは単純な例ですが、このように自分のことが良く見えてきます。
こういう仕事をしている時は楽しんでいるな、だったり、こういうタイプの人とはあまりうまく会話ができないんだ、みたいなことまでわかってきます。
気づいたことは、どんどん紙に書き出していきます。
そのうちに、以前うまくいかなかったことの原因や対策がどんどん思いうかんできます。
私の場合は、だいたい一ヶ月に一度程度、この振り返り作業を行なっています。
ある程度時間をとって行なった方がいいです。1〜2日くらいはゆっくり自分と向き合う時間にしてもいいと思います。
定期的に自分の頭の中にあることを紙に書き出す、というのは次の記事で要約したブレインダンプという考え方に近いです。
使っているお金に注目
ここまでは、能動的に自分を情報にする方法を説明してきました。
ですが、そこまでしなくても既に情報になっている自分を見つめることもできます。
例えば、家計簿。
家計簿を見れば、自分が何にお金を多く使っているかわかります。
お金をたくさんつかっている領域は、実は自分の強みになることが多いです。
例えば、ゲームにすごくお金を使っている場合、他の人よりもゲームに詳しい可能性が高いです。
少なくとも、ゲームを無料でしかしない人よりも圧倒的に知識を持っているはずです。
美容にお金を使っている方も、普通の人より美容に詳しい可能性が高いです。
自分の強みはなんですか?と聞かれて、強みでもないものを答える人が非常に多いです。
自分が理想とする自分の強みだったり、これからつけたい強みを答えてしまう人が多いです。
でも、実際に使ったお金を見ればかなり正確に強みを発見することができます。
理想ではなく現実の自分なので、あまり認めたくない特徴の可能性もありますが。
家計簿を作るのが面倒な人は、クレジットカードの毎月の明細を見るだけでも多くのことがわかります。
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ネットの閲覧行動に注目
自分がどのようなサイトや記事をネットで見ているかも、自分を知る上で重要なヒントになります。
ブラウザの閲覧履歴の機能で簡単に確認することができます。
また、Googleで自分がどのようなキーワードで検索しているか、記録を残しておくことができます。
Google My Activity という機能です。
これを有効にしておけば、自分がした検索のキーワードを全て記録して置くことができます。
これらを定期的に見ることで、自分が何に関心を持っているか、定量的に把握することが可能です。
人に聞いてみる
ここまでは、自分だけで完結する、自分を見つめて知る方法でした。
人に自分のことを聞いてしまうという手もあります。
「私ってどんな人だと思いますか?」
と聞いてしまうのもありです。
とはいえ、なかなか他人に自分のこを聞くのは勇気がいります。
いきなり批判されたらショックですからね。
そういう場合は、信頼できる人に
「私の良いところってどういうところですか?」
と聞いて見るといいです。
それで納得できるようであれば、悪いところについても聞いて見るといいでしょう。
一つおすすめしたい習慣は、褒められたら深掘りして聞いてみることです。
例えば、
「〇〇さん、頭いいですよね。」
と褒められたら、
「えっ、どういうところが?」と聞いて見ます。
ちょっとあつかましいかもしれませんが、意外な発見があることも多いです。
さいごに
これらのことを習慣化することで、かなり自分を客観的にみつめて理解できるようになるはずです。
これから立ち向かう、ビジネス、就活、人間関係、などで戦略を立てるのに役立つはずです。
ぜひ活用してみてください。
ちなみに、孫子だけでなく、現代でも自分を知ることの重要性を強調している成功者が多いです。
以下で要約した書籍でも強調されていましたので、ご覧ください。